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キラースマイルよりさらに進化した真の俳優キム・ジェウォン
2020-07-10

[女性東亜 キム・ジウン記者 2020.7.9]

2000年代にドラマを席巻した俳優キム・ジェウォンがデビュー20周年を迎えた。1人事務所設立と海外進出計画など今は事業家として、マルチエンターテイナーとしてさらに幅広い活動を準備している彼に会ってみた。

2年前俳優キム・ジェウォン(39)OCN ドラマ‘神のクイズ : リブート’に殺気と狂気に満ちたヒョン・サンピル役として登場した時、人々は何度もクレジットに記された俳優の名前を確認しなければならなかった。デビューから20年近く過ぎたが彼は今も真っ白な肌と魅惑的な ‘キラースマイル’を浮かべる美少年として記憶されていたためである。

彼の演技はとても強烈だった。鍛え抜かれた筋肉に、目が離せないくらい派手な刺青、短く刈り上げたヘアスタイルは彼の狂気に満ちた眼光にこれ以上ないくらいマッチしていた。復讐心を燃やす殺人鬼‘ヒョン・サンピル’は彼の俳優人生の新たなターニングポイントになった。

2002年、デビュー1年でMBC 演技大賞新人賞をはじめ多くの賞を総なめにし、当時最高の人気を誇った後も出演するドラマごとに好評を博し、授賞式のステージを独り占めした。しかし専売特許とも言える白い肌と眼差しのせいで美少年のイメージを払拭するのは容易ではなかった。俳優だからと言って必ず作品ごとに違ったイメージを出さなければならないわけではないが、カメラの前に立っていられないほどのパニック障害に苦しめられていた彼にとってここ数年間の俳優生活は担いきれないほど重苦しいものだった。そんな時に‘ブレーン狂人’というニックネームを持つ、ヒョン・サンピルという人物は俳優として、一人の人間として自らの心の底を見直せたいい機会になった。そして再び1年が過ぎた。

 

自ら輝ける存在に、前向きな影響力を伝えたくて

 

“休息と成長の時間が必要でした” 

彼はこの間“ただ休んでいた”と言った。最近1人事務所‘フーラビジョン’を設立したキム・ジェウォンは当初の計画通りなら今頃台湾と香港、中国などに赴き、ワールドツアーを行っているはずだった。香港と台湾では映画撮影が、ベトナムではバラエティー番組の出演が、日本ではファンミーティングが予定されていた。タイでは友人のアルバム作りの手助けをするはずだった。しかし思ってもいなかったコロナ19に行く手を阻まれた。1年程度と思っていた休息の時間が予測不可なほどに長引き、多くの計画を修正せざるを得なくなった。しかし彼は焦らないでいようと決心した。かえって自身に溢れていた。計画通りに進まない人生に対する不安より、自らをより細かく整備し、完成させていく前向きなエネルギーが何よりも必要な時期だったからである。

“すでに ‘国家’というものの境が無意味になったようです。故人の政治的志向や文化的背景から離れてアーティストには言語を超越する部分が備わっているからです。なので韓国を離れ、世界のどこであっても僕を必要とする、僕と一緒に苦楽を共にしてくれる人たちとどんな形であれ会いたいと思います” 

実際彼が事務所を設立したのは今回が初めてではない。デビュー当初事務所と様々なトラブルを抱えた彼は2年後に事務所と決別し独立を宣言した。以降6年間、独立エンターテインメントを運営した彼はその後も一度事務所を設立したことがある。彼ほどの経歴と認知度、経営者としての経験も積んできたので大きな事務所を設立してスター軍団を作ってもおかしくないと思うのだが、彼は意外なことを口にした。

“マネージメント会社で素晴らしい才能を持つスターを育てることもいいでしょう。僕も演技の教育なんかは誰よりもうまくやれる自信もあります。これまで経験してきたこともあるし、人生哲学や人格教育なんかもうまくやれると思います。でもマネージメント会社は志を共にした時こそ輝けるものです。中で問題が発生すればとんでもないトラブルを抱えてしまうのです。実際にマネージメント会社に所属してしまえばその枠の中で動かなくてはならないので、あれこれと不自由な部分もできてしまいます。なのでこれからは僕だけのやり方でファンたちと触れ合って行きたいのです” 

彼は誰かを教えることより、一人一人が作取を得て、自ら輝けることのほうがより大きくと重要な悟りを与えてくれると付け加えた。

“音楽をやっている後輩の中にバークレー音大を卒業して、その分野で才能を認められた人がいます。でもこの後輩の音楽は非の打ちどころはないのですが、大衆と共感するというところが足りないのです。彼なりには努力も尽くし、テクニックもずば抜けているのに、大衆性を獲得することができないので、この後輩はある日、僕は子ども達を教える先生になる方がましだと言い出しのです。話を聞いて僕は言いました。 ‘僕は君の考えを最大限尊重したい。君のようにずば抜けた才能と技術を持った先生に出会えることは弟子たちにとってとても大きな喜びになるでしょう。そしてその後輩をLPバーに誘ってマイケルジャクソンの舞台を見せてあげたのです。‘マイケルジャクソンは一人一人を教えることはなかったけど、にもかかわらず数百万の人々があの舞台を見て学んだのです’と。どれがより満足できる生き方なのかは自ら選択しなければいけないと言葉をかけました” 

言葉とは時に無意味な説明のために付け加える蛇足にもなりうる。真の教えとはセンスのある一言、うまい表現ではなく、見たその瞬間に自ら感じ取れるようにするものだ。かえって人々は自ら光を放つ人を見ながら悟りを得たり、その悟りを通して自らが光を放てる方法を会得したりもする。大きな事務所を設けてスター志望生一人一人を育てるよりも、自らお手本にしたい先輩、近づきたい人になっていくここそがより大きくて遠大な夢に向かう道だという悟りの裏にはとても重みのある責任感と氏名が隠されているのだ。

 

俳優キム・ジェウォンだけが見せられるもの

 

彼がドラマ ‘神のクイズ : リブート’でヒョン・サンピルを演じた時、ある人はついにキラースマイルのイメージから脱皮する機会を得たと言ったし、イメチェンに成功したとも言った。しかし彼はそれらの表現が気に入らないと言う。ややもすればそのような言葉が、誰かの本来の姿を奪う異なる恐れがあるからである。

“そろそろ変わる時が来たのではないか、もう変わるべきだよ。そんな言葉をよくききました。でも虎の子は虎として生きるしかないし、蛇の子は蛇として生きるしかないのです。虎が蛇になったり、蛇が虎になったりはできません。人にはそれぞれの光があるのに、他人からその光とは異なる姿を強要されてしまうと、知らぬ間に本来の光を失ってしまうかもしれないと思います。それは時にその人の笑顔を奪うこともあるし、本来の感情を押し殺して抑圧された命を甘受するようにしてしまうことさえあるのです” 

彼は最近本来のもの、自然そのものの純粋さを耽美することにハマっていると言う。多くの経験と知識を通して研ぎ澄まされた美も大切だが、時にはいかなるものからも自由で、原石そのものの純粋な美しさが必要だからである。彼にとって純粋な微笑みを持つ人間キム・ジェウォンがその原石の輝きを持つ存在ならば、俳優という職業に携わるキム・ジェウォンは多くの経験と知識を通して研ぎ澄まされた価値のある宝石なのである。

彼にとって俳優とは、各自が忘れていた自分自身の姿を呼び覚まし、また出会えるように手伝ってくれる人なのだ。誰かがドラマや映画を観ながら、 ‘あー、私にもあんな頃があったな’ と悟りながら自分の内面と向き合うことができたなら、それだけでも俳優としての本分を果たせたと言えます。だから俳優は何でもやってみなければいけないと信じている。自分の料理がある味を出すためには、どんな材料とタレが必要なのか、やってみなければわからないことばかりなのだ。

“以前は技術的な演技を見せてきた側面が多かったようです。今でもそんな演技はいくらでもできます。しかしこれからはもっといい演技がしたいです。作品に対して僕だけの解釈が加味され、その呼吸を通して大衆に前向きな影響力を行使したいのです” 

最近出演した TV朝鮮の教養番組‘食客ホ・ヨンマンの定食紀行’で“成熟した真摯な俳優として生まれ変わりたい”と語る彼の言葉が蘇ってきた。彼が考える真摯さとは何なのか。

“多くの人たちが自分を捨てろ、心を空にしろ、そうすれば何かが見えてくると言います。しかし私は反対です。今自分が向き合っている現実世界を生き抜いていくことが最も大切なことです。それが私という存在が生きる理由にもなるのです。現実を回避したり、逃亡することは決していい方法ではありません。結局はまた解決できなかった問題の前に戻ってきてしまうからです。逆に私に降りかかった現実をうまく解決することができる智慧を持つことのほうがはるかに満足できる人生を生きることができる方法なのです” 

彼は自らを途方もない ‘実用主義者’と称した。哲学と瞑想など霊的なことに心酔しているが、現実とかけ離れた理想に埋め尽くされた哲学と瞑想は人生を浪費させる ‘虚像’に過ぎないという考えなのだ。

キム・ジェウォン‘実用主義’的実戦は毎日欠かさない瞑想からはじまる。‘瞑想’といっても何かとてつもなく巨大な意識みたいなものが定まっているわけではない。ただ就寝前に一日の日課をパノラマのように思い起こしながら、今日を一生懸命に生きたのか、その中に存在する自分の姿はどうだったのか、振り返ってみることなのだ。至らなかった部分や保管すべき部分があればさらに深い瞑想を通して、今後どのような方式で改善できるのかを考えてみるのである。

彼は最近海外進出を準備しながら、新たに名前一つを持つことにした。 ‘へロス(HEROS)’。オリンポス12神の一人ヘルメース(Hermes)と愛の神エロース(Eros)を合成した名前で、生命と人の象徴だと言う。ジェウォンという名前は外国人が記憶するには難しすぎるので、悩んだ末に決めたと言うが、自ら名前に責任をもって自分の人生の主人になりたいと願ってのことだともいう。

“人生で一番大切なものは何なのか、深く考えてみました。すると急に生命、そして愛という単語が浮かんできました。‘愛’はこの世のすべての賢者たちが究極の悟りに達した時に語るものでもあるのです。愛はすべてを生かすことができる力を持っています。そして個人的にゼウスの息子ヘルメースが好きです。ヘルメースはゼウスが寵愛する旅の神で、とても情報に明るく、知識が豊富な、商人たちの守護神でもあるのです。地獄と天界を行き来できる能力を備え、諍いを仲介したり、問題を上手に解決する役割を果たしています。私たちがよく知っているポータルサイトのNAVERの象徴でもある翼の生えた帽子がヘルメースの帽子なのです。すべての知識と情報を持っている、健康で未来志向的な青年なのです”

 

家族は自分とは違う他人

 

休みの間は何をして過ごしたのかが気になった。旅行に出たり、読書、書芸などの趣味生活に没頭していたこと以外にも、一般人として知られていたが、後になって有名なCM監督だということが明らかになった妻についても聞いてみたかったし、せっかくはじめたエンターテインメント業なので、二人で力を合わせてもいいのではないかと思ったりもしたのか、聞いてみたかった。しかし彼は家族に対してだけは明らかに線を引いた。自身が大衆に露出される芸能人だからといって家族のプライベートまでオープンするのは危険な行動だとの考えからである。

“家族がお互いにとって心休まる拠り所にしようと思えば、それぞれの人生を家族という垣根の中に縛り付けてはいけないと思います。人は花が美しいから思うままに摘んでもいいと錯覚してしまいます。自分が愛しいと思えば、思う通りに触れてもいいと考えてしまうのです。しかし関係には尊重がとても大切なのです。僕が尊重してこそ、相手もまた僕を尊重してくれます。いかに家族といえどもそれぞれの領域があるし、互いに異なる理想というものもあるのです。愛を口実に何かを強要したり、束縛してしまえば、また‘僕が君に何かをしてあげたのだから、君も僕に何かをするべき’という考えを持っていたら、それは愛ではなく錯覚に過ぎないのです” 

彼のこんな考えは子どもに対してもそのまま適用される。些細な何かをする時でも彼は息子の意思をまず聞いてみる。親が先に子どもの意思を尊重しなければ、子供も親の意思を尊重しなくなるという考えからである。そしてそのように合意された互いの日常に対しては徹底して保護し、守り通すべきだとのはっきりとし立場も持ち合わせていた。 息子の私生活を保護したいとの思いもあるが、キム・ジェウォン自ら家族とのささやかな日常を他人と共有したくないと言う思いが強いようだ。

“最近は多くの人がSNSに自身の日常をアップして反応を起こすということで疎通を図っています。しかし誰もが自分の人生において自分だけがしまっておきたいことがあるでしょう。自分のすべてを誰かに見せつけたり、時にはただひたすら誰かに見せるために敢えて何かをやるということが本当に幸せなことでしょうか” 

彼は一貫して真摯で、また愉快に話してくれた、ややもすれば至極当然の話なのかもしれないが、しかし誰も安易に ‘NO’と言いにくい事柄についてもこのように真摯に答えてくれたので、彼の実用主義哲学はとても力強いもののように感じられた。生命と愛の神へロース、世界の舞台に向う彼の未来に期待を寄せてみよう。

写真 キム・ドギュン
衣裳協賛 マエストロ・ダックス

 

女性東亜 2020年7月679号

 

 

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